マカオ、カジノ全面禁煙化なら売上減必至=最大マイナス20%、大手投資銀行見通し

マカオ政府衛生局は1月29日、今年上半期中にもカジノ全面禁煙化などを盛り込んだ「新禁煙法」の改正案をまとめ、立法議会に提出するとの方針を明らかにした。マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月以降、7ヶ月連続で前年割れとなっている中、全面禁煙化がカジノ売上に与える影響について、大手投資銀行が相次ぎ予測を発表している。

マカオの日刊紙「澳門日報」が1月31日付紙面で報じた。ドイチェバンクが発表した研究レポートによると、カジノ内の禁煙ゾーンを従来のマスゲーミング(平場カジノ)フロアのみからVIPカジノへ拡大するという法改正案について、立法議会での審議に長い時間がかかるとし、今年8月までの立法議会の会期末までに結論が出ないだろうとの見方だ。同行の試算では、昨年10月6日にマスゲーミングフロアの禁煙化が実施された影響により、カジノ売上が10-15%のマイナスとなったとし、VIPカジノの禁煙化が実施された場合も同程度のマイナスにつながるとみている。また、マカオのカジノ運営6社のうち、売上に占めるVIP比率の高いギャラクシー・エンターテイメント社とウィンマカオ社、最近ハイリミットテーブルを増やしているメルコ・クラウン・エンターテイメント社について、VIPカジノ禁煙化の場合の影響が比較的大きいとしている。

JPモルガン・チェースのレポートでも、今年8月末までの今立法議会での新禁煙法の改正はないとの見方で、今年10月から来年8月までの次の会期に持ち越されるだろうとしている。カジノ全面禁煙化によるカジノ売上へのマイナス影響は必至とし、米国及びオーストラリアでの経験から、施行後初年度のカジノ売上が10-20%減となる可能性があると指摘。なお、マスゲーミングフロアの禁煙化による影響は比較的小さく、マイナス幅は10%以内だったとした。カジノ全面禁煙化による影響が最も小さいカジノ運営企業として、サンズチャイナの名を挙げた。昨年12月の統計によると、サンズチャイナ社のカジノ売上に占める喫煙可能テーブルの割合は39%で、60-75%となっている他の5社と比較して極端に低いためという。

マカオ衛生局では、VIPカジノの禁煙化を実施する場合、すでに禁煙化が実施されているマスゲーミングフロアと同様、喫煙ルームの設置により対応する見通し。

マカオでは灰皿の置かれたゲーミングテーブルも間もなく見納め?(資料写真)—本紙撮影

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