香港、84日ぶり新型コロナ市中感染確認例出現…キャセイ航空クルーの検疫規定違反きっかけ=12/31

 人口約740万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、5月にかけてようやく状況が落ち着き、5月末に終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に記録がストップすることとなった。

 香港衛生当局の発表によれば、12月31日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は19人で、内訳は輸入関連性の市中感染が2人、輸入性(海外からの入境者)が17人。全員オミクロン変異株感染疑いという。

 香港における市中感染確認例の出現は実に84日ぶりのこととなる。

 市中感染確認された患者2人は、12月27日のランチタイムにカオルーントン地区の大型ショッピングモール「フェスティバルウォーク(又一城)」内にあるレストラン「ムーンパレス(望月樓)」に居合わせたことがわかっている。このうち1人は先に感染確認された患者(香港を拠点とする航空会社、キャセイパシフィック航空のクルー)の家族で、同じテーブルで食事をしていた。もう1人の患者は約10メートル離れたテーブルだったという。同一時間帯に店内にいた客の数は200人超だったとされる。拡散のきっかけとなった当該キャセイパシフィック航空のクルーは海外から香港へ到着したばかりで、自宅での医学観察(検疫)期間中だったが、規定に違反して外出していたとのこと。

 近日、香港では輸入性感染確認例の多くがオミクロン変異株感染になっていることを受け、航空会社クルーに対する指定施設あるいはホテルにおける隔離検疫免除の例外(生活必需品の物流維持のため)の見直しを進めてきた。自宅での検疫は12月28日までに不可となり、29日以降は海外から香港へ到着後、指定ホテルで3日間の隔離検疫が必須とされたばありだが、1月1日から7日間、PCR検査で陰性となるまでに延長となる。キャセイパシフィック航空は31日から7日間、すべての長距離貨物便及び貨物便扱いとしている旅客便の運行をストップする。

 輸入性の患者17人は英国、米国、カナダ、フィリピンなどから空路香港へ到着。このうち1人はキャセイパシフィック航空貨物便のパイロットで、12月25日に米国から到着した際に空港で受けた検査結果が陰性だったことから自宅に戻っていたが、規定に違反して27日夜に飲食店などへ出掛けていたとのこと。その後、29日に上述のレストランでの拡散のきっかけとなった患者の密接接触者として検疫センターに移送され、同センター内で受けた検査結果が陽性となり、感染確認に至ったという。

 香港衛生当局では、目下の香港の状況は流行「第5波」の臨界点にあるとし、患者の立ち寄り先(高リスク場所として市内11ヵ所がリストアップされている)に居合わせた人の追跡調査などを含め、市民に防疫対応への協力を呼びかけた。

 このほか、香港の12月30日午後7時時点のワクチン接種率は72.3%(1回目の接種完了)、69.1%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は990万7184回、1日あたり接種回数は2万0246回(7日移動平均値1万4789回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。なお、11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は37万9013回。

香港国際空港(資料)-本紙撮影

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