マカオ、2022年通期のカジノ売上は対前年約5割減の約6892億円…コロナ流行後の最低に

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は1月1日、昨年(2022年)12月のマカオの月次カジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から56.3%減、前月から16.1%増の34.82億パタカ(日本円換算:約569億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比では10ヶ月連続のマイナス、対前月では2ヶ月ぶりにプラスとなった。コロナ前の2019年同月からは84.8%減。

 12月の営業日は31日間で、11月より1日長い。12月の1営業日あたりの平均売上は前月から約12%増の1.12億パタカ(約18.3億円)。新型コロナの影響が生じて以降では、2022年7月の0.13億パタカ(約2.1億円)及び2020年第2四半期の0.23億〜0.56億パタカ(約3.8億〜9.1億円)が底。

 昨年通期(1〜12月)のカジノ売上は前年同時期から51.4%減の421.98億パタカ(約6892億円)。変動率は前月時点から0.5ポイント拡大(悪化)。昨年は新型コロナの影響が生じてから3年目にあたるが、初年(2020年)を下回って最低に。2019年比では86.5%減。

 マカオ政府の2022年度財政予算における当初カジノ売上見込みは1300億パタカ(約2兆1232億円)で、最終的な進捗率は32.5%にとどまった。前年も同額の見込みに対して大幅未達(66.8%)だった。

 中国本土とマカオの間では2020年第4四半期から条件付きで隔離検疫免除での相互往来が再開され、2021年のカジノ売上はやや持ち直したが、オミクロン変異株の出現によって2022年に入って以降は中国各地で再流行が深刻化し、マカオ域内でも大規模な流行が出現。再び水際措置の強化や移動制限が講じられるなどした結果、マカオにおける中国本土からのインバウンド旅客数が低迷し、カジノ売上に影響が及んだとみられる。なお、12月初旬に中国本土で事実上のウィズコロナへの転換があり、マカオも追随。防疫措置が一気に緩和され、海外との隔離検疫免除での往来も復活。12月に対前月プラスとなった要因とみてとれる。2023年については、上昇に転じる可能性も出てきたといえるだろう。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2022年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:63.44億パタカ=約1036億円(20.9%減)
・2月:77.59億パタカ=約1267億円(6.1%増)
・3月:36.72億パタカ=約600億円(55.8%減)
・4月:26.77億パタカ=約437億円(68.1%減)
・5月:33.41億パタカ=約546億円(68.0%減)
・6月:24.77億パタカ=約405億円(62.1%減)
・7月:3.98億パタカ=約65億円(95.3%減)
・8月:21.89億パタカ=約358億円(50.7%減)
・9月:29.62億パタカ=約484億円(49.6%減)
・10月:38.99億パタカ=約637億円(10.7%減)
・11月:29.99億パタカ=約490億円(55.6%減)
・12月:34.82億パタカ=約569億円(56.3%減)
>1〜12月累計:421.98億パタカ=約6892億円(51.4%減)

【資料2】2013年〜2021年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億パタカ=約5兆8919億円(18.6%増)*ピーク時
・2014年:3515.21億パタカ=約5兆7412億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億パタカ=約3兆7702億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億パタカ=約3兆6456億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億パタカ=約4兆3402億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億パタカ=約4兆9462億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億パタカ=約4兆7765億円(3.4%減)
・2020年:604.41億パタカ=約9872億円(79.3%減)
・2021年:868.63億パタカ=約1兆4187億円(43.7%増)

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