マカオ、グランドドラゴンカジノのクローズ手続き完了…過渡期満了待たず早じまい

 マカオの衛星カジノ施設のひとつで、メルコリゾーツ(マカオ)社が運営するタイパ島・グランドドラゴンホテル併設の「グランドドラゴンカジノ(駿龍娛樂場/Grand Dragon Casino)」が(2025年)9月22日午後11時59分をもって営業を終了した。

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ、カジノ規制機関)は9月23日午前、グランドビューカジノのクローズ作業について、同日朝までに滞りなく完了したと発表。

 グランドドラゴンカジノでは、9月22日午後11時59分に正式な営業終了を迎えた後、同局によるゲーミングテーブルの運用停止手続き、関連部門と緊密に連携しての退去を含む関連事項の対応など、法律に基づく作業が整然と進められたとのこと。

 また、政府労工事務局の職員が現場入りし、従業員への説明や事後フォローアップのためのホットラインに関する情報提供を行い、治安警察局及び司法警察局の職員が施設内外における秩序維持を担当。DICJが全過程をコーディネートする中、各部門の緊密な連携により、クローズ手続きを無事に終えることができたとした。

営業終了後のグランドドラゴンカジノにおけるゲーミングテーブルの運用停止手続きの様子=2025年9月23日(写真:DICJ)

 衛星カジノとは、マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ事業者の所有ではない物件内(主にマカオ半島新口岸地区の中小規模のホテル内)にあり、フランチャイズのような契約形態で運営されるカジノ施設を指す。前月(6月)初旬、衛星カジノ全11軒(※)とスロット専門カジノ「モカクラブ」6店のうち3店が(2025)年末までにクローズすることが発表された。

 2023年1月1日に施行された改正娯楽場幸運博彩経営法律制度(通称「新カジノ法」)の規定により、カジノ施設はコンセッション事業者の所有する物件内に設置することが必須となったが、従来の形態で衛星カジノを運営できる過渡期が3年間(2025年12月31日まで)設けられ、以降に継続する場合は管理会社方式を採用し、衛星カジノオーナーは管理会社としてコンセッション事業者から施設の清掃や警備等に関する管理費のみを受け取れるが、カジノ運営に一切関与できず、いかなる方式でのレベニューシェアやコミッションの受け取りもできないとされた。2022年にかけて法改正手続きが進む中、もともと約20軒あった衛星カジノのうち一部が相次ぎクローズした。

 グランドドラゴンカジノは、過渡期の満了を待たずにクローズしたことになるが、早じまいの先例として、SJMリゾーツ社の「グランドビューカジノ(君怡娛樂場/Casino Grandview)」が7月30日23時59分をもってクローズしている。目下、マカオで営業を継続中の衛星カジノ施設の数は9軒にとどまる。

 このほか、メルコリゾーツ(マカオ)社が運営するマカオ半島新口岸地区の北京街にあるモカクラブの「モカ・クォンファ店(摩卡廣發/Mocha Kuong Fat)についても、9月24日23時59分をもってクローズすることが発表済み。

 グランドビューカジノとグランドドラゴンカジノは過渡期の満了を待たず早じまいのかたちとなったが、それぞれ運営会社は当該施設に割り当てられていたゲーミング(カジノ)テーブルについて、それぞれ傘下の別施設に再配置して引き続き稼働を継続することを明らかにしている。

※この時点で営業中の11軒のうち2軒は直営方式に転換することでコンセッション事業者(SJMリゾーツ社)が継続意向を示している)

グランドビュードラゴン入口にクローズ告知を設置する作業の様子=2025年9月23日(写真:DICJ)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府旅遊局(マカオ政府観光局/MGTO)は9月24日、「Journey To Experi…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は9月24日午後、前日(23日)マカオ域内で新たにチクングニア熱感染2…
  3.  マカオの衛星カジノ施設のひとつで、メルコリゾーツ(マカオ)社が運営するタイパ島・グランドドラゴン…
  4.  非常に強い勢力の台風18号(国際名:ラガサ)が9月24日未明にかけてマカオへ再接近する見込みだ。…
  5.  マカオ政府衛生局(SSM)は9月22日、感染症予防法及び義務的感染症届出メカニズムの規定に基づき…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…
  3.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  5.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…

イベントカレンダー

9月 2025
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30      
« 8月   10月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年9月号
(vol.147)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun