マカオの19年1〜3月期実質GDP、前年比マイナス3.2%…10四半期連続成長でストップ

マカオ政府統計調査局は6月3日、今年第1四半期(2019年1〜3月期)のマカオ特別行政区の域内総生産(GDP)を公表。

今年第1四半期の実質GDPの成長率は前年比マイナス3.2%で、10四半期連続成長がストップした。主なマイナス要因として、需要が弱体化に転じ、成長モメンタムが不足したことで、経済への下押し圧力が強まったことが挙げられる。外需は著しく減速し、このうちゲーミングサービス輸出及びその他ツーリズムサービス輸出がそれぞれ0.6%、0.3%の減少。貨物輸出についても1.8%の減少。内需は引き続き低調で、前年から0.4%の減少。主に固定資産投資の急激な減少によるもの。個人消費と政府最終消費はそれぞれ2.1%、4.1%の増で、景気後退の一部を相殺した。貨物輸入は2.0%増加したが、サービス輸入は20.9%減少。今年第1四半期の物価変動の程度を表す物価指数にあたるGDPデフレーターは前年比3.2%上昇。

個人消費の増加幅は縮小。就業環境は良好で、仕事による収入も増加する中だが、経済の先行き不透明感から、より慎重な姿勢に転じたもの。このほか、前年に台風による被災の影響で自動車販売が急増したことがベースを押し上げたこともあり、個人消費の増加率は昨年第4四半期の2.8%から0.7ポイント縮小の2.1%にとどまった。マカオ域内及び域外における世帯の最終消費支出はそれぞれ1.3%、7.9%の増加。

政府最終消費支出は増加傾向を維持。増加率は昨年第4四半期の3.4%から0.7ポイント拡大の4.1%に。このうち、職員報酬は2.4%増、購入商品及びサービスの純価値は7.0%の増加だった。

工事の減少を受け、固定資産投資の減少幅は拡大。今年第1四半期の固定資本形成総額は前年比31.7%減で、主に建築投資が37.5%減だったことによる。一方で、設備投資は4.5%の増。政府が多額の投資をした港珠澳大橋マカオ側イミグレーションの完成により、公共工事投資が82.3%、設備投資についても75.6%のそれぞれ減少。民間投資の改善も見られず、前年比15%減。大型建設プロジェクトの相次ぐ完成と新規プロジェクトの減少により、建設投資は20.4%減。ただし、設備投資は11.3%増。

全体需要は鈍化し、商品貿易も低調に推移。個人消費の伸びは縮小し、投資についても減少が続いた上、旅客消費も減少に転じた。商品輸入は2.0%の緩やかな増加。外需は減速し、商品輸出は1.8%減。

成長モメンタムが不足し、サービス貿易のパフォーマンスが低調。インバウンド旅客数は大幅に増加したものの、消費が減速し、サービス輸出は0.3%縮小。このうち、ゲーミングサービス輸出とその他ツーリズムサービス輸出はマイナスに転じ、それぞれ前年比0.6%、0.3%の減少となり、それぞれ6.7%、1.4%の増加だった昨年第4四半期を大幅に下回った。このほか、サービス輸入は20.9%減。

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

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