マカオ政府が新型コロナ経済支援で市民に配布の約4万円分電子商品券、決済総額の6割超が中小企業に流入

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息時期が見通せない状況が続く中だが、マカオでは70日以上にわたって新規感染確認がなく、入院患者もゼロとなっており、状況は落ち着いている。

 マカオは人口約70万人、面積約32平方キロという小さな街だが、インバウンド旅客数は年間3940万人超(2019年実績)に上り、アジア有数の国際観光地として知られる。しかしながら、1月後半以降、入境制限を含む厳格な新型コロナ防疫措置が講じられ、インバウンド旅客が激減。インバウンド依存度が高い国際観光都市マカオの経済は大きな打撃を受けている。

 マカオ政府は防疫策と同時に、幅広い層が恩恵を受けるかたちでの民生・経済支援策も打ち出している。このうち、域内での消費を盛り上げ、雇用維持を図るための経済支援策として「電子商品券(Eバウチャー)」が初めて発行され、5月1日から使用開始となった。

 電子商品券の配布対象はすべてのマカオ居民IDカード(日本のマイナンバーカードに近い身分証)保有者で、年齢や所得といった制限は一切ない。事前にオンラインまたは指定のカウンターで申請を受け付け、申込者数は約65.8万人に上った。電子商品券には、3000マカオパタカ(日本円換算:約4万円)がチャージされており、マカオで広く普及するICカード「マカオパス」の端末が設置された地元の飲食店、小売店、生活雑貨店などで使用できる(カジノ、公共料金、マカオ域外との交通機関など対象外あり)。消費期限は5月1日から7月31日までの3ヶ月間、消費額の上限は1日あたり300マカオパタカ(約4000円)までとなる。また、8〜12月分として後日5000マカオパタカ(約7万円)を追加チャージすることも発表済み。

 マカオ政府は6月22日、電子商品券の使用開始から1ヶ月半(5月1日から6月15日まで)の状況をまとめた中期報告会を開催。6月15日までに事前申込者数の9割にあたる約60万人が受領し、1ヶ月半の1人あたり平均使用額は2481マカオパタカ(約3.3万円)だったとのこと。また、決済総額は14.6億マカオパタカ(約196億円)、決済件数は1564万回、平均決済額は93マカオパタカ(約1250円)で、約63%が中小企業に流入したという。業種別では、決済件数の約24%が飲食業、約70%がリテール業だった。

 マカオ旅遊学院が実施したアンケート調査によれば、飲食業の6割超、リテール業の4割超が電子消費券による売上が5割あるいはそれ以上を占めたと回答し、経営のサポートに一定の役割を果たしたことを示す結果となった。

 政府は中期報告の総括として、内需の安定、消費ムードの刺激、企業の自信増、居民の経済圧力軽減、電子決済普及という5つの効果があったとした。なお、5月のインフレ率は消費券の使用開始前にあたる4月との比較でマイナスとなり、年初から物価は安定して推移している。 

  電子商品券のほか、マカオ居民向けの経済支援策では、毎年恒例実施している現金配布(1人あたり約14万円)を当初予定の7〜9月から4〜6月に前倒し実施、家庭用公共料金(電気・水道)3ヶ月間(3〜5月)全額補助、所得税減税などがある。民生支援については、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるようマスク有償配給制度を立ち上げ、現在まで継続実施中。さらに、中小企業や個人事業主を対象とした各種支援策も用意している。マカオにはカジノ税収という特殊な財源が存在し、近年の財政収支は大幅黒字。これまでに余剰金を積み上げ、歳入のおよそ5.8年分にも達する潤沢な財政準備を抱えており、政府は財政準備の一部を活用して新型コロナ対策に臨む方針を示している。

電子商品券を使った決済のイメージ=2020年5月1日(写真:マカオ金融管理局/経済局)

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