香港、新型コロナ新規感染者数は2万6908人…第5波累計72万人超、死亡率は0.56%に=3/14

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど、状況が深刻化している。目下、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局が3月14日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染者数は前日から5522人減(17.0%減)の2万6908人だったとのこと。内訳は、PCR検査結果陽性が前日から1295人減(9.7%減)の1万2040人、スピード抗原検査結果のオンライン陽性報告数が同4227人減(22.1%減)の1万4868人で、第5波開始以来の累計感染者数は72万人超となった。

 当局では、最近市中の人流が増加しているとし、感染確認数が依然として高水準にある中、各種防疫措置を遵守し、外出を控えるよう市民に呼びかけた。

 公立病院における14日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は249人(39〜105歳)で、これとは別に遅れて報告された死亡者が37人おり、第5波開始以来の累計死亡者数は4066人、死亡率は0.56%に。ワクチン接種歴による死亡率については、2回以上接種済みの人が0.08%だったに対し、2回接種を済ませていない人は1.86%とのこと。

 第5波下、高齢者介護施設及び障がい者施設に関連する感染例が多く確認されている。これまでに感染例が出現した高齢者介護施設は施設総数の約9割にあたる752軒、障がい者施設については約8割にあたる270軒に上っているという。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。全市民対象の強制PCR検査に関しては、当初3月実施予定とアナウンスされたものの、現時点まで具体的な実施スケジュールは示されていない。

 香港の3月13日午後8時時点のワクチン接種率は91.0%(1回目の接種完了)、80.1%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は53.4%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。13日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は5万1481回で、7日移動平均は7万3278回。

 年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳が80.1%、80歳以上が54.6%と大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。

 このほか、香港行政長官による14日午前の定例会見では、いずれも米国の製薬会社メルク及びファイザーが開発した2種類の新型コロナ経口治療薬について、十分な量を確保することができ、メルク製はすでに使用を開始、ファイザー製についても同日第一便が香港に到着予定であることなどを明らかにされた。

局地ロックダウンによる強制ウイルス検査が実施された新界・九龍のマンションを視察に訪れた香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官(右3)ら=2022年3月13日(写真:news.gov.hk)

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