マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ6陣営の一角、SJMリゾーツ社に属する衛星カジノ施設のひとつで、マカオ半島新口岸地区の商業ビル内に入る「カムペックパラダイスカジノ（金碧匯彩娛樂場／Casino Kam Pek Paradise）」が（2025年）12月1日午後11時59分をもって正式に営業を終了した。

　マカオ政府博彩監察協調局（DICJ、カジノ規制機関）は12月2日、同カジノ施設のクローズ作業が同日の朝までに無事完了したと発表。

　同カジノ施設では、12月1日午後11時59分をもって正式に営業を終了した直後からDICJがゲーミングテーブル及びゲーミングマシンの稼働停止手続きに入るとともに、各部門と積極的な連携を図りながら、退去を含む各種関連事項を着実に進めたとのこと。

　また、政府労工事務局の職員がクローズ作業中の現場に入り、従業員の質問にその場で回答したり、事後フォローアップのためのホットラインに関する情報提供を行ったほか、治安警察局及び司法警察局の警察官が場内及び周辺で秩序維持の任にあたり、クローズ手続き全体をスムーズに終えることができたという。

　衛星カジノとは、マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ事業者の所有ではない物件内（主にマカオ半島新口岸地区の中小規模のホテル内）にあり、フランチャイズのような契約形態で運営されるカジノ施設を指す。今年6月初旬、政府から衛星カジノ全11軒とスロット専門カジノ「モカクラブ」6店のうち3店が（2025）年末までにクローズすることが発表された。

　2023年1月1日に施行された改正娯楽場幸運博彩経営法律制度（通称「新カジノ法」）の規定により、カジノ施設はコンセッション事業者の所有する物件内に設置することが必須となったが、従来の形態で衛星カジノを運営できる過渡期が3年間（2025年12月31日まで）設けられ、以降に継続する場合は管理会社方式を採用し、衛星カジノオーナーは管理会社としてコンセッション事業者から施設の清掃や警備等に関する管理費のみを受け取れるが、カジノ運営に一切関与できず、いかなる方式でのレベニューシェアやコミッションの受け取りもできないとされた。2022年にかけて法改正手続きが進む中、もともと約20軒あった衛星カジノのうち一部が相次ぎクローズ。「ポンテ16カジノ（十六浦娛樂場／Casino Ponte 16）」については、「ルアークマカオカジノ（澳門凱旋門娛樂場／Casino L’Arc Macau）」とともに、当初SJMリゾーツ社が直営方針に転換することで継続意向を示していたが、11月20日に同社がポンテ16の買収を断念して施設の営業を終了する一方、ルアークホテルの買収決定（直営化実現）を同時発表した。

　衛星カジノの過渡期の満了まで1ヶ月を切る中だが、すでに7月下旬から早じまいするケースが相次いでおり、目下のところマカオで営業を継続中の衛星カジノ施設の数は3軒のみとなっている。12月2日、次週（9日）にもSJMリゾーツ社に属するフォーチュナカジノ（財神娛樂場／Casino Fortuna）が営業終了することが同社及びDICJからアナウンスされ、去就未発表の衛星カジノはランドマークカジノ（置地娛樂場／Casino Landmark）のみという状況。

　なお、過渡期の満了を待たず早じまいのかたちとなった衛星カジノ施設について、各運営会社は当該施設に割り当てられていたゲーミング（カジノ）テーブルとマシンについて、それぞれ傘下の別施設に再配置して引き続き稼働を継続することを明らかにしている。