マカオ人の旅行先、人気トップは「日本」=クリスマス大型連休、円安とムードが決め手

マカオでは、12月20日の返還記念日から、冬至、クリスマスと祝祭日が続き、土日や振替休日を含めておよそ1週間に及ぶ大型連休となっている。海外旅行へ出かける人が年間で最も多いといわれるこのシーズン、目的地として日本が人気トップとなっていることがわかった。

マカオの政府系放送局TDMなど地元メディア各社が12月22日付のニュース及び紙面で報じた。21日に地元メディアの取材に応じたマカオ観光業議会の胡景光理事長によると、今回の大型連休中にマカオから海外旅行に出かける人の数は前年同時期と比較しておよそ3割程度増える見通し。目的地では「日本」の人気が特に高く、日本行きのパッケージツアーは11月頭の時点で定員に達したものも見られたとのこと。パッケージツアー代金は4泊5日で7千〜1万パタカ(日本円換算:約10万5千〜15万円)程度という。

マカオと日本の間は、マカオ航空が成田、関空にそれぞれ週4便の直行便を運航しているが、需要増に伴い臨時のチャーター便を出して対応しているという。また、マカオから船で45分の位置にある香港国際空港を経由して日本へ渡航するルートを利用する旅客も多いとみられる。

日本が人気となっている理由として、円安に加え、美しいイルミネーションなど、クリスマスムードが味わえるという点が挙げられるとのこと。日本を目的地とするパッケージツアー代金は韓国や台湾といったアジアの他地域を訪れるツアーと比較して割高だが、それでも日本を選びたいという人が多いのが今年の特徴のようだ。近年、マカオ人の所得上昇に伴い、価格の高低ではなく、しっかり目的意識を持って旅先を選ぶようになったのが背景にあるそう。年間を通じてみると、タイやマレーシアなど、南アジア方面も人気の旅行先だが、クリスマスに関しては「ムード」を求める傾向が強く、それほど引きは強くないという。

マカオで旅行代理店が多数集まる場所として知られるプライア・グランデのチャイナプラザビル前で市民の声を聞いた。間もなく日本へ旅行に出かけるという会社経営者のアオさん(30代女性)によると、台湾と日本で迷ったが、円安のタイミングなので日本を選んだという。香港経由で大阪に飛び、4泊5日の日程で京阪神の三都市をめぐり、グルメやショッピングを楽しみたいとのこと。また、貿易会社勤務のレイさん(29歳女性)は、香港のLCC(格安航空会社)香港エクスプレスが新規就航したのをきっかけに、初めて名古屋を訪れるという。これまで、東京、京阪神、北海道、沖縄などを訪れ、いずれもその土地ならではの魅力を感じ、もっと日本を知りたくなったという。名古屋の大須でショッピング、鳥羽で温泉や海鮮料理を楽しむプランを立てているとのこと。公務員のタンさん(50代男性)は、和歌山の温泉と大阪をめぐるパッケージツアーに家族で申し込んだといい、USJの「ハリー・ポッター」を訪れるのが最も楽しみだと語ってくれた。

マカオ政府統計調査局が発表した今年1〜10月の「マカオの旅行代理店サービスを利用したマカオ居民(マカオ居留権保有者)の海外渡航数統計」によると、日本を訪れたマカオ人はのべ2万2400人で、前年同期比32.5%増。この統計には航空会社のウェブサイトやホテル予約ウェブサイト等を通じて個人手配を行った人数が含まれないため、実際にはさらに多くの旅客が日本を訪れているものとみられる。なお、日本政府観光局が発表している訪日外国人統計資料では、マカオの項目が存在しないため、具体的な数字は不明。中国関連では、中国(本土)、香港、台湾という区分になっており、マカオはいずれの統計にも含まれない。

マカオ国際空港(資料)=マカオ・タイパ島―本紙撮影

マカオ国際空港(資料)=マカオ・タイパ島―本紙撮影

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