中国広東省で新型コロナ市中感染確認続く…マカオは入境時隔離検疫対象地域の追加とワクチン接種呼びかけで対応

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオにおける新型コロナの市中感染例は420日以上にわたってゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況だ。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。

 中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所(ホテル)で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受けることが必須で、さらに隔離検疫満了後も14日間の自己健康管理期間として個人防疫対策を講じることが求められる。

 今年(2021年)1月から2月中旬にかけて中国北方を中心に市中感染の再発が確認されたため、中リスク地域の指定が相次いだが、その後は状況が好転し、一旦は2月23日までに指定ゼロとなった。しかしながら、最近になって中国の複数地域で市中感染例が出現し、中リスク地域が再設定された。中でも、近日はマカオから近く、往来も盛んな広東省では次々と指定地域が追加されている。

 地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定される。現在は比較的小さな範囲にとどまっているが、今年1〜2月には大都市全域が対象となるような例もあった。

 マカオ政府が設定した5月29日午後9時時点(現地時間)の中リスク地域は下記の通り。

■広東省:広州市海珠区瑞宝街道南洲名苑小区、ライ湾区龍津街道錦龍社区/海龍街道(増キョウ社区、海北社区、龍渓社区、龍灣社区、大和社区、江北社区含む)/白鶴洞街道(鶴洞社区、鶴建里社区、山頂社区、鶴平社区、鶴翔社区、鶴園社区、観鶴社区、金道社区、観御社区、曼寧社区、融穗社区含む)/中南街道(海中社区、海南社区含む)/東キョウ街道(康乃馨社区、東キョウ社区、西ロウ社区、芳村花園社区、芳和花園第一社区、裕安社区含む)/衝口街道(鶴松社区、沙湧社区、杏花社区、聯合圍社区、兄弟園社区、聚龍社区、羅湧社区、坑口社区、匯興社区、怡苑社区含む)、深セン市龍崗区園山街道の西坑社区/安良社区、鹽田区の沙頭角街道橋東新村/鹽田街道沙崗ウ/鹽田街道東海麗景花園/鹽田港
■安徽省:六安市金安区/裕安区、合肥市肥西県上派鎮
■遼寧省:営口市陳屯鎮/ハツ魚圈区紅海社区/熊岳鎮、瀋陽市和平区芸園小区と順天小区/於洪区陽光100国際新城/碧桂園銀河城

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは29日、新型コロナワクチン接種率が比較的高い欧州や北米等の国々では流行状況の緩和が見受けられるが、接種率の低い日本、マレーシア、タイ、台湾といった国や地域で状況が急激に悪化していること、中国本土各地に中リスク地域指定が出現する状況にあってもマカオと広東省の間で大量の往来があることを鑑み、同センターとして広く防疫措置の強化、政府が推進するワクチン接種への協力を呼びかける声明を発表した。マカオにおける新型コロナワクチン接種率は1割台前半にとどまっている。

大勢の観光客で賑わうタイパ島・タイパヴィレッジの官也街(写真:MGTO)

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