「MGSエンターテイメントショー」主催者インタビュー…11月マカオで開催の大型国際カジノ見本市

今年(2018年)11月13日から15日まで、マカオで国際カジノ見本市「MGSエンターテイメントショー2018」の開催が予定されている。

MGSエンターテイメントショーは地元マカオのゲーミング(カジノ)機器製造業者の組合にあたる澳門娯楽設備廠商会(MGEMA)の主催で2013年にスタート。今年て6年連続6回目の開催となり、会場はこれまでと同じコタイ地区の大型IRヴェネチアンマカオ併設のコタイエキスポホールを予定している。

MGSエンターテイメントショーには、スロットマシンメーカー及び関連機器やシステム、ゲーミングチップやプレイングカード(トランプ)などのカジノ用品、VIPルームなどを運営するカジノ仲介業者といったゲーミング(カジノ)関連業界のほか、IT、ショービジネス、飲食、サービス、家具、メディア、カジノ関連学科やディーラー養成コースを持つ教育機関まで、世界各地から幅広い企業・団体などが出展。また、併設会場でアジアのゲーミング業界の最新動向をテーマにしたセミナーやパネルディスカッションも行われ、アジアのゲーミング業界における最新トレンドやキーパーソンが一堂に会する情報及び人材ハブ機能も果たしている。

マカオは世界最大のカジノ売上を誇る都市として知られるが、マカオで大型IRを展開するローカル系及び海外系の複数のIR運営事業者が新たな商機を求めて日本進出意向を示すほか、マカオ政府や地元メディアも含めて同一地域におけるライバルとなる「日本版IR」の動向に関する注目度は非常に高い。

本紙では、9月24日にMGSエンターテイメントショー2018の主催者であるMGEMAのジェイ・チュン(陳捷)会長にインタビュー取材を実施した。同氏は、マカオの大手ゲーミングマシンメーカー「LT GAME」、マカオ半島新口岸地区にあるカジノ施設「カムペックパラダイスカジノ」を運営する香港上場企業のパラダイスエンターテイメント社を率いるほか、マカオ特別行政区政府経済発展委員会の委員も務める。マカオのカジノ業界のキーパーソンのひとりとして知られる人物だ。

-MGSエンターテイメントショーのアジア市場における強みとは?

 マカオは世界のゲーミング業界の中心地として広く認知される存在です。アジアにおいては、ゲーミング市場の牽引役として、そして技術面、インフラ開発面においても優位なポジションにあります。世界のゲーミング業界は、これらを注視し続けています。すべてのゲーミング関連機器、システム、テクノロジーセクターが一堂に会するのがMGSエンターテインメントショーです。マカオは世界におけるゲーミング業界のハブとして機能していますから。

-MGSエンターテインメント2018の新トピックは?
 日本におけるIR開発は、IR実施法の成立により、ホットなトピックとなっています。世界中のゲーミング業界関係者が、日本版IRに熱視線を注いでいます。
 MGSエンターテインメントショー2018では、主にレジャー・テクノロジー、ゲーミング機器、Eスポーツ、統合型リゾート関連調達、ホテルサプライ、セキュリティシステム、ファッション・文化創作といったところにスポットを当てます。
 また、2つのサミット(パネルディスカッション・セミナー)も開催します。1つ目の「MGSサミット2018」では、日本版IRと拡大する潜在市場としての東南アジアをテーマに。もう1つの「グローバルデジタルエンターテイメントサミット2018」は、中国のSina Games社がオーガナイザーとなり、ゲームIP+Eゲーミング、ブロックチェーンデジタルエンターテイメント、Eスポーツの発展がテーマです。

-MGSエンターテイメントショーの日本からのエキジビター及びビジター誘致策について

 過去数年、私たちは複数のエキジビターと専門家を招聘してきました。今後も、日本市場に向けてのプロモーションを一層強化し、誘致につなげたい考えです。

-世界のゲーミング業界における日本版IRの注目度は?

 現在、世界中のゲーミング業界が日本市場に注目し、カジノ運営会社とサプライヤーのいずれも、この新市場に対して大きな期待を抱いています。しかしながら、新市場であるだけに、現時点でも未確定要素が多く、関係者は成り行きを見守っている状況です。

-IRが日本に与えるインパクトについてどうお考えですか?

詳細についての未確定要素が多いため、どのようなかたちになるか予想しづらい状況ですが、日本市場により多くのインバウンド旅客をもたらすといったポジティブインパクトをもたらす可能性が高いでしょう。その一方で、懸念される社会問題への対応として、実践的なレスポンシブルゲーミングの普及が望まれます。経験豊富なカジノ運営会社がMGSエンターテイメントショーに参加し、どのようなレスポンシブよりも策が功を奏するのかについてのディスカッションも行われます。

-将来的に、MGSエンターテイメントショーの日本版の開催計画などはあるか?

 現時点では、ターゲット層がどこにいるかが把握できず、まだ時期尚早と思います。日本市場が成熟した後、あらためて開催を検討することになるでしょう。

-マカオのゲーミング市場、業界の今後の見通しについて

 経験、付帯施設、旅客ソース、インフラなどを考えた場合、マカオは世界トップの位置にあります。私たちは、少なくとも今後10年間にわたって、マカオがアジアにおけるゲーミング業界のリーダーであり続けると思います。

「MGSエンターテイメントショー」を主催する澳門娯楽設備廠商会(MGEMA)のジェイ・チュン会長=2018年9月24日-本紙撮影

「MGSエンターテイメントショー」を主催する澳門娯楽設備廠商会(MGEMA)のジェイ・チュン会長=2018年9月24日-本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は4月26日、今年第一四半期(2024年1〜3月期)の雇用…
  2.  マカオの公共路線バスで4月25日午前0時から中国本土版のアリペイ、香港版のアリペイ、マカオ以外の…
  3.  近日、マカオを含む中国華南の珠江デルタ地域では大雨が続いている。  マカオ政府海事・水務局…
  4.  マカオ貿易投資促進局(IPIM)は4月24日、マカオにおけるMICE誘致状況のアップデートを明ら…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun