マカオ、極めて精巧な偽造カジノチップ用いた巨額詐欺事件発生…被害額約6500万円

 マカオ司法警察局は12月16日、偽造ゲーミング(カジノ)チップを用いた巨額詐欺事件の容疑者として中国本土出身の男2人とマカオ人の男女各1人の計4人を逮捕したと発表。

 警察発表によれば、被害者の男性はカジノVIPルームに500万香港ドル(日本円換算:約6665万円)を返済する必要があり、知人を通じて現金490万香港ドル(約6531万円)と500万香港ドル分のチップと交換できるとの話を持ちかけられたとのこと。被害者は10万香港ドル(約133万円)を節約できることから、12月14日に資金の一部を用立てた友人2人とともに取引場所へ出かけ、相手方の3人組と接触。この際、人民元建てで指定口座に2回に分けて送金するよう求められ、途中で一部のチップ(額面10万香港ドルのチップ20枚)を受け取ったため、友人1人が返済先のVIPルームへ持ち込んだところ、VIPルームのスタッフが偽造であることを見抜き、警察に通報。連絡を受けて事情を知った被害者が取引相手の3人を連れて警察署を訪れ、助けを求めてきたという。

 その後の警察の調べで、VIPルームに持ち込まれたもの、さらには被害者が遅れて受け取った残りのチップ(額面10万香港ドルのチップ30枚)についても偽造であることが確認されたとのこと。

 警察の捜査で、被疑者のうち1人が事前に仲間とみられるマカオ人の男1人と接触していたことが判明。12月15日にこの男が中国本土からマカオへ戻った際にイミグレーション施設内で身柄の拘束に成功したとのこと。捜査過程で被疑者らが詐取した金銭の一部とみられる13万3000香港ドル(約177万円)分の現金を取り戻したが、警察では偽造チップの出所、残る金銭の行方、他の関係者の行方などを追っているとした。

 なお、今回の事件で使われた偽造チップが極めて精巧な造りで、肉眼と手触りだけでは真贋判定しにくいものだったというが、検査機器を実施した結果、偽造防止用の電子タグがなかったとのこと。

偽造チップを用いた巨額詐欺事件の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

 マカオのカジノ施設でテーブルゲームに参加する際、現金ではなくチップを使用する。チップは少し分厚いコインのような形をしており、額面によって色やデザインが異なるが、いずれも小さく軽い。1枚10万香港ドル以上の高額チップも存在する。

 チップはカジノフロアにあるキャッシャーと呼ばれるカウンターで額面の現金と交換することができる。つまり、現金そのもの。マカオのカジノでは、しばしばチップを狙った犯罪が発生している。

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