メルコリゾーツが2020年第4四半期未監査決算発表…コロナ禍で業績軟調、日本含む世界各地の開発計画にコミット継続

 マカオを中心にアジア、ヨーロッパで統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エンターテインメント・リミテッドは2月25日、未監査の2020年第4四半期(10〜12月)及び通期の決算を発表。

 同社の2020年第4四半期の営業総収入は前年同時期から約64%減となる5億3000万米ドル(日本円換算:約562億円)。営業総収入減の主要因として、2020年第4四半期においても継続した、2020年における海外からの観光客の著しい減少をもたらした新型コロナウィルスの感染拡大に起因する、すべてのゲーミング(カジノ)部門及びノンゲーミング事業の業績が軟調だったことを挙げた。

 営業損失は1億4480万米ドル(約153億円)。前年同期は1億7340万米ドル(約184億円)の営業利益を上げていた。

 前年同期は4億0980万米ドル(約434億円)だった調整後プロパティEBITDAは5340万米ドル(約57億円)に。

 純損失は1億9970万米ドル(約212億円)で、前年同期は6810万米ドル(約72億円)の純利益だった。2020年第4四半期における非支配株主に帰属する純損失は3510万米ドル(約37億円)、前年同期の非支配株主に帰属する純利益は1270万米ドル(約13億円)で、すべてスタジオ・シティ、シティ・オブ・ドリームス マニラ及びキプロスにおける営業に関連するもの。

 2020年通期の営業総収入は前年同時期から約70%減となる17億3000万米ドル(約1834億円)。営業損失は9億4060万米ドル(約997億円)で、前年通期の7億4770万米ドル(約792億円)の営業利益。また、調整後プロパティEBITDAとして、前年通期の16億9000万米ドル(約1791億円)に対し、1億米ドル(約106億円)のマイナスを計上。純損失は12億6000万米ドル(約1335億円)で、前年通期の3億7320万米ドル(約396億円)の純利益。非支配株主に帰属する純損失は、1億9110万米ドル(約203億円)で、いずれもスタジオ・シティ、シティ・オブ・ドリームス・マニラ及びキプロスにおける営業に関連するもの。前年通期の非支配株主に帰属する純利益は2110万米ドル(約22億円)だった。

メルコリゾーツ&エンターテインメント社の旗艦IR施設「シティ・オブ・ドリームス マカオ」(資料)

メルコリゾーツ&エンターテインメント社の旗艦IR施設「シティ・オブ・ドリームス マカオ」(資料)

 2020年第4四半期の決算発表にあたり、メルコリゾーツのローレンス・ホー会長兼最高経営責任者(CEO)が発表したコメントは以下の通り。

「新型コロナウイルス並びにこれに伴う旅行規制は、当社の業績と財務実績に悪影響を与え続けています。これらの困難にもかかわらず、第4四半期において当社の統合型リゾートの業績水準は緩やかな回復基調にあります。」

「最近の前向きな動向に勇気づけられる一方、当社の従業員、お客様そして私たちが事業を行っているコミュニティの安全と健康が引き続き当社の最優先事項です。また当社は、来訪者を増加させ、経済を後押しし、現地の雇用を守るためにマカオ特別行政区による中国本土からの旅行者のためのスキームを全面的にサポートします。このスキームのサポートにおいて、当社は、特別行政区の持続可能な発展と経済の再生に貢献しながら、現地の中小企業(SME)パートナーと手を取り合って感染症対策を最優先とすることに努めます。」

「当社はバランスシートの堅実な管理を継続しています。2020年12月31日時点で当社はおよそ18億米ドル(約1908億円)の現金を手元に保有しており、およそ20億米ドル(約2120億円)の未使用リボルビング資金借入能力を有しています。1月には、スタジオ・シティが、返済期限を2029年、年利を5.00%とする優先債券を7億5000万米ドル(約795億円)分発行し、当社は、返済期限を2029年、年利を5.375%とする追加の優先債券を2億5000万米ドル(約265億円)分発行いたしました。これらの起債により、当社の平均借入率が低下するとともに全般的な返済期限が延長されました。」

「新型コロナウイルスの影響を受ける一方で、当社は、世界各地の開発計画にコミットし続けていきます。マカオでのスタジオ・シティの拡張工事は順調に進んでいます。完工により、約900室の新たな高級客室とスイートルーム、世界で最大の室内/室外ウォーターパークの一つとなるシネプレックス、高級ダイニングレストラン、そして最新のMICEスペースが増設されます。また、マカオにおいては、ヌワの全面的な改装が間もなく完成するとともに、シティ・オブ・ドリームスの施設のアップグレード作業が進行中です。ヨーロッパにおいては、完成すれば500室を超えるラグジュアリーな客室、約1万平方メートルのMICEスペース、屋外の円形演技場、ファミリー向けのアドベンチャーパーク、及び多種の高級料理店や高級小売店を備えたヨーロッパ最大の統合型リゾートとなる、シティ・オブ・ドリームス メディテレーニアンを開発中です。」

「日本については、世界に類を見ないIRをこの国に生み出すことへの当社の継続したコミットメントを強調したいと考えています。当社のアジアのプレミアム部門への注力、高品質な施設ポートフォリオ、クラフツマンシップへの注力、世界トップレベルのエンターテインメントを提供することへの情熱、市場をリードするソーシャルセーフガードシステム、パートナーシップ構築について確立された実績、卓越したゲストサービスに関する企業風土及び雇用拡大への継続的なコミットメントは、日本ならではの特徴ある非常に優れた統合型リゾートを日本が実現することをサポートできる絶好の立場に当社を置くものと信じています。新型コロナウイルスにより、日本でのプロセスは遅滞しており、内容も複雑ですが、国・地域が再びRFPのプロセスを開始するにつれて、勢いを取り戻しました。当社は、力強い価値創造をもたらすことができる主要な強みを活かし、適切な機会を追及することができると今後の展望を評価しており、忍耐強く活動を続けます。」

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