マカオで今年9人目のツツガムシ病患者確認…患者はタイパ・コロアン島各所でハイキング歴

 マカオ政府衛生局(SSM)は8月23日午後、マカオで感染症のツツガムシ(恙虫)病とみられる患者が新たに1人報告されたと発表。

 SSMによれば、患者はリタイア生活を送るマカオ人の女性(66)で、8月9日から発熱及び全身倦怠感の症状が現れ、自身で薬を服用したものの症状が続いたため、8月12日に私立総合病院の鏡湖醫院を受診。検査で右脇の下に豆粒大の皮膚の損傷が1つ見つかり、胸部CTで両肺が炎症を起こしていることがわかったことから、入院が決定した。その後、治療を経て症状が回復し、無事退院。その症状、体徴、治療の有効性からツツガムシ病と臨床診断されたとのこと。患者は潜伏期間中の海外渡航歴はなく、家族及び友人に類似の症状は出現していないとしたが、発症前に友人らと龍環葡韻、九澳ダム、ハクサダム、龍爪角などタイパ・コロアン島各所へハイキングに出掛け、その際に草むらを歩くことがあったと説明したという。

 マカオでツツガムシ病の感染者が確認されるのは今年9人目で、すべて5月初旬以降の事案(8月内2人目)。このうち輸入性は1人のみ。本来、マカオで輸入性ではないツツガムシ病の感染例が見つかるのは極めて稀なケース。

 ツツガムシ病は日本で第4類感染症に指定されており、ツツガムシリケッチアと呼ばれる病原体の感染によって引き起こされる、人獣共通感染症のひとつ。野ネズミなどの哺乳類に寄生するダニの一種、ツツガムシのうちの一部が媒介者となる。ツツガムシが生息する野山や河川敷で罹患することが多い。ツツガムシ病の初期症状はインフルエンザににており、食欲減退、頭痛、悪寒、高熱などがみられ、4、5日目には発疹が現れる。放置すると肝臓や腎臓の機能にも影響が及ぶといわれる。現在、予防ワクチンはなく、抗生物質を服用することが有効な治療法とされているとのこと。

 SSMでは、野外活動の際にむやみに草むらに入らない、肌の露出が少ない服装を心がける、ダニに効く虫除けスプレーなどを使用するなど、感染防御策を徹底するよう市民に呼びかけている。

マカオの大型総合病院として知られる鏡湖醫院(資料)-本紙撮影

マカオの大型総合病院として知られる鏡湖醫院(資料)-本紙撮影

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