マカオが中国本土に追随してコロナ対策を転換…段階的緩和で爆発的感染拡大抑制へ

 中国(本土)では厳格なゼロコロナ政策が堅持されてきたが、今月(12月)7日に当局が大幅な緩和を発表。事実上の方針転換と受け止められている。

 具体的には、感染者の自宅隔離が認められたり、医療機関等を除くほとんどの公共の場所及び公共交通機関利用時のPCR検査の陰性結果の提示義務がなくなったほか、いわゆるロックダウンの基準も引き下げに。全国で一気呵成に緩和が進んだ。一方、海外からの入境者に対する義務的隔離検疫については現時点で大きな変更はないが、近く緩和となる可能性が高いとみられる。

 マカオは中国に倣ってゼロコロナ政策を採っているが、マカオ当局は8日、中国当局の大幅緩和発表を受けての記者会見を開き、マカオの対応を明らかにした。

 マカオ当局によれば、基本的に中国本土の緩和内容に追随するが、マカオの医療キャパシティ等の状況を踏まえ、段階的に対処を進める方針を示した。

 マカオ政府社会文化長官の歐陽瑜氏(写真中央)は会見の中で、防疫措置の緩和により、マカオの人口の5〜8割程度が新型コロナに感染すると予想される中、医療崩壊を防止するため爆発的に多くの患者が出現する状況を防止しなくてはならないとし、一気にではなく段階的に緩和を進める方針について理解を求めた。

 今後、12日から市内3ヶ所でコロナ外来を試験的に立ち上げ、密接接触者の自宅での隔離を許可するほか、1〜2週間程度様子見の後に無症状あるいは軽症の感染者の自宅隔離・療養も認める方向とした。また、2週間以内に市民へ防疫キット(コロナ用の漢方薬、迅速抗原検査キット、KN95規格マスク入り)の配布を実施するとのこと。

 入境検疫については、香港・台湾・海外からマカオへ入境した人に対する所定施設での義務的隔離検疫5日間は不変としたものの、9日から隔離検疫後の3日間についてはPCR検査受験時以外の外出が不可となる「赤色」コード(自宅隔離)から外出可能な「黄色」コード(自己健康管理)へ緩和され、自己健康管理期間中のPCR検査受験義務は3日のみに。隔離検疫期間の短縮についてもそう遠くないうちに実現するとの見通しも示された。

 中国本土とマカオとの間は隔離検疫免除での相互往来が実現済み。珠海市からマカオ入りする場合は24時間以内、その他からの場合は48時間以内のPCR検査陰性証明を求める措置をしばらくの間は維持するとしたが、入境後のアライバル検査は不要となった。

マカオ当局による防疫措置の緩和に関する記者会見=2022年12月8日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ貿易投資促進局(IPIM)は4月24日、マカオにおけるMICE誘致状況のアップデートを明ら…
  2.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  3.  アフターコロナ初年となったマカオの昨年(2023年)通期のカジノ売上(粗収益、Gross Gam…
  4.  マカオ・コタイ地区にある統合型リゾート(IR)ギャラクシーマカオのイーストスクエアで4月24日、…
  5.  マカオ治安警察局は4月24日、同月22日に路線バスの車内で乗り合わせていた20代の女性の臀部に下…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun