マカオ、20年1月のホテル客室稼働率79.4%…対前年13.5ポイント下落…新型コロナの影響で春節GW不振=2月はさらに低迷か

 マカオは人口約67万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月については、本来ならば月末にかけて春節(旧正月)ゴールデンウィーク(1月24〜30日)の書き入れ時になるはずだったが、同月下旬から新型コロナウイルス感染症への防疫対策が強化されたことを受け、月次のインバウンド旅客数は前年同月から13.6%減の308万3406人にとどまった。このうち宿泊を伴う旅客は14.2%減の153万0832人で、同月のインバウンド旅客全体に占める割合は57.2%だった。宿泊を伴う旅客が日帰りを上回るのは、港珠澳大橋開通の前月にあたる2018年9月以来、実に16ヶ月ぶりのこと。

 マカオ政府統計調査局は2月28日、今年1月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(簡易宿泊施設に相当するペンサオンを含む、以下同)は前年同月から13.5ポイントの大幅下落となる79.4%だった。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から14.5ポイント下落の80.4%、4つ星が11.1ポイント下落の79.4%、3つ星が12.8ポイント下落の81.9%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が3.3%増、4つ星ホテルが15.6%減、3つ星ホテルが横ばいだった点も考慮する必要がある。

 今年1月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から5軒増の122軒、供給客室数は横ばいの3.87万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒増の36軒で、供給客室数は全体の65.1%を占める2.52万室。

 今年1月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から11.4%減の109.0万人。主な内訳は中国本土旅客が11.3%減の79.2万人、香港旅客が11.0%増の10.7万人、韓国旅客が23.0%減の4.2万人、台湾旅客が20.9%減の3.1万人、日本旅客が29.0%減の1.4万人だった。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.5日に。宿泊を伴う旅客に占めるホテル宿泊旅客の割合は7.3ポイント上昇の78.9%。

 なお、春節ゴールデンウィーク(1月24〜30日)に限った平均ホテル客室稼働率は前年の同じ時期から43.8ポイント下落となる52.9%にとどまった。

新型コロナの影響でインバウンド旅客が激減したマカオ。写真は観光名所、世界遺産・セナド広場=2020年2月26日本紙撮影

 マカオ政府は1月下旬以降、入境制限を含む強固な防疫措置を講じており、インバウンド旅客数は激減している。2月5日に防疫対策強化の一環として全カジノ施設が15日間の一時休業となって以降、IR(統合型リゾート)併設の高級リゾートホテルを含む29軒(3899室分)が一時休業に入った。その後、2月20日午前0時からカジノ施設の営業が再開したのを機に、一時休業中だったホテルも相次いで営業を再開している。しかしながら、マリア・エレナ・デ・セナ・フェルナンデス局長が2月25日夕方の政府コロナウイルス対策センターの定例記者会見で明らかにした内容によれば、2月15日から21日までの1週間の営業中のホテルの平均ホテル客室稼働率は11.8%にまで落ち込んだとのこと。ホテル等級別では、5つ星ホテルが1桁だったという。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

 本稿執筆時点(マカオ時間2月29日午前10時30分)のマカオにおける新型コロナウイルス感染確認者数は累計10人で、内訳は7人が武漢からの旅客、3人がマカオ人。このうち武漢からの旅客7人とマカオ人1人の計8人が治癒し退院済み。2月5日以降、現在まで25日連続で新規感染確認ゼロが続いている。

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