マカオの社会福祉団体が家族への影響に焦点当てたギャンブル依存関連調査結果公表

 世界一のカジノ売上を誇る都市、マカオ。面積約32平方キロ、人口約68万人の小さな街に、大小合わせておよそ40軒のカジノ施設が軒を連ねる。

 マカオでは、ギャンブル依存に対する社会的関心が年々高まっており、政府及びカジノをはじめとするギャンブル運営企業、社会福祉団体が手を携え、「レスポンシブル・ゲーミング(ギャンブル依存の予防と治療対策を含む社会コストへの対応)」の推進に取り組んでいる。

 目下、マカオ政府はレスポンシブル・ゲーミングのテーマのひとつとして、家族を巻き込むリスクを掲げている。政府社会工作局から委託を受け、24時間体制で電話・インターネットを通じたギャンブル依存カウンセリングサービスを提供する社会福祉団体、聖公会のマカオ社会サービス処は1月27日、同会調査研究センターと合同で「ギャンブラー家族のギャンブル依存に対する認識及び精神的ストレスと対応」に関する調査報告会を開催。調査結果を踏まえ、ギャンブル依存が家族に与える影響について社会の関心を高める必要性を指摘した。

 調査は昨年(2021年)7月から10月にかけて、インターネットアンケート及び電話形式で実施。有効回答はギャンブラー家族124人分で、内訳は子女が約50%、配偶者が約21%、その他は父母、兄弟姉妹、交際相手とのこと。

 約5割が家族の一員がギャンブルに興じることで恐怖、不安、憤りを感じることがよくある、たまにあると回答。また、約33%が家族内のギャンブラーと口論、喧嘩になったり暴力的対応を蹴たことがあるとした。さらに、約6割が家族の一員のギャンブルによる借金返済を手伝ったことがあり、多くが累計20万パタカ以内というが、約1割は100万パタカ超。4割超が家族に借金返済をサポートする必要があるとの認識だった。しかしながら、5割超がレッテルを貼られるのが心配で外部にヘルプを求めず独自に問題対応にあたっているという。

 聖公会では、調査を通じて回答者が総じてギャンブル依存に関する正しい認識を持っていることがわかったが、伝統的な家族概念等の影響を受けやすく、家族内における問題対処に迷信のようなものも存在するとし、地域コミュニティにおけるレスポンシブル・ゲーミング啓蒙活動の展開、ギャンブラーの家族への情緒支援の強化、さらにはギャンブラーの家族が行動を起こしやすい受け皿の整備が必要と提起した。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

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