マカオローカルの失業率が過去最悪の5.5%に…6〜8月期、オミクロンBA.5流行と新卒者労働市場投入時期重複

 マカオ政府統計調査局は9月30日、今年(2022年)6〜8月期の雇用統計を公表。総体失業率が4.3%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者、いわゆるローカル)に限った失業率は5.5%だった。

 前回調査(今年5〜7月期)から前者が0.2ポイント(pt)、後者が0.1ポイント上昇(悪化)。不完全雇用率は3.1pt上昇の16.5%。ローカルの失業率は前回に続いて過去最悪を更新するかたちとなった。

 マカオでは現在まで中国本土に倣ってゼロコロナ政策が堅持されており、流行が長期化する中、失業率はリーマンショックの影響があった2009年以来の高水準が続く状況。今回の最新調査で失業率の悪化が進んだ要因として、統計調査局は6月中旬から8月初頭にかけて新型コロナ(オミクロンBA.5)のアウトブレイクが発生し、準ロックダウンを含む極めて厳格な防疫措置が講じられたことと新卒者の労働市場への投入時期が重なったことを挙げた。

 今年6〜8月期のマカオ居住の労働人口は37.92万人、労働参加率は68.9%。就業人口は前回調査から1600人増の36.29万人、マカオ居民に限ると4300人増の27.83万人。

 失業人口は前回調査時から700人増の1.63万人。このうち初めての職探しをする人の数は600人増の2000人で、全体に占める割合は3.3pt上昇の12.0%。また、新たな職を探す失業者については、直前までカジノ・カジノ仲介業と建設業に従事していた人の数が多くを占めた。

 不完全就業者数は1.20万人の大幅増となる6.26万人。上述の準ロックダウンにより一時休業や営業規模の縮小が発生したカジノ・カジノ仲介業、ホテル・飲食業、小売業従事者が多くを占めた。

 前年同時期との比較では、不完全雇用率、総体失業率、労働参加率が12.8pt、1.5pt、0.4ptのそれぞれ上昇。

 就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元にマカオ居民及び海外労働者の越境通勤者数は約8.79万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から2100人増の46.71万人。

 マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、コロナ禍で厳しい経済情勢の中、マカオ政府労工局(DSAL)はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。DSALの最新統計によれば、今年8月末時点における海外労働者数は15万4032人で、前月末から3791人、前年同月末から1万7092人のそれぞれ減だった。このところ減少傾向が続いている。

 また、DSALは30日午前に発出したプレスリリースの中で、昨今の就業状況の変化を注視しており、ジョブマッチングやジョブフェアの開催、職業訓練等の実施などを通じて、マカオ居民の就業サポートに継続的に取り組んでいるとした。今年1〜9月にかけて104回のジョブマッチング機会の提供などを通じ、マカオ居民4785人の就職をサポートしたとのこと。

マカオ居民の就業を支援するため開催されたジョブマッチングフェアの様子(写真:DSAL)

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