マカオ当局が猫をフックにした旧市街地活性化策を実施

 マカオはカジノを含む統合型リゾート(IR)や世界遺産、独特の食文化といった観光コンテンツを擁し、アジア有数の観光都市の1つに数えられる。

 人口約67万人、わずか約30平方キロ(東京の山手線の内側の約半分)という小さな地域にもかかわらず、コロナ前には年間4000万人近いインバウンド旅客が訪れた。旅客数はコロナ禍で一旦は激減したものの、年初のウィズコロナ転換による水際措置の大幅緩和以降、急回復している。

 観光都市マカオの課題として、旅客の一極集中が挙げられる。大勢の旅客がマカオ半島の中央部にある著名な世界遺産周辺とコタイ地区にある大型IRを目指す傾向があり、政府は人流の分散によって経済波及効果の拡大を図る取り組みを進めている。

關前街エリアには猫を飼っている店が多く存在する(写真:DSEDT)

 マカオ政府経済・科技発展局(DSEDT)は6月18日、マカオ半島中央部に位置する關前街エリアにおける旧市街地活性化プロモーション活動「關前薈2023」の新シーズンを同月下旬から展開すると発表。

 同エリアは最も著名な2つの世界遺産にあたる「セナド広場」から「聖ポール天主堂跡」へ至るゴールデンルートのすぐ西側で、昔ながらの古い街並みが残り、下町風情を感じられる場所だ。近年はクリエイティブ系のショップやカフェの進出も相次ぎ、「SNS映え」スポットとして注目を集めるようになった。ただし、依然として知名度は高いといえず、ゴールデンルートを訪れる圧倒的な人流をうまく呼び込むには至っていない。

關前街エリアには猫を飼っている店が多く存在する(写真:DSEDT)

 DSEDTでは、夏休みシーズンに向け、同エリアをSNS映えする写真撮影をしながら遊食買が楽しめる総合観光スポットとしてアピールしたいとしており、従来のスタンプラリーや抽選会に加え、新たに「猫」をフックにしたプロモーションを展開を強化するという。実は、エリア内には猫を飼っている店が多くあり、かわいい「猫店員」を目当てに街歩きできることを魅力の一つとして訴求したい考えとのこと。

 4月下旬には聖ポール天主堂跡方面からの入口となる大關斜巷に動く猫のキャラクターの3Dサイネージが設置され話題になったが、6月下旬にはエリア内の關前正街に猫の裸眼3Dサイネージの運用を開始予定としている。

大關斜巷に設置された3Dサイネージ(写真:DSEDT)

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