マカオの8月ホテル客室稼働率86.4%=大型台風襲来による団体旅客受け入れ見合わせなど影響で15ヶ月ぶり下落に転じる

マカオは人口約65万人、面積約30平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。

昨年(2016年)通期の訪マカオ外客数は前年から0.8%増の延べ(以下同)3095万0336人となり、3000万人の大台を3年連続突破した。今年8月の訪マカオ旅客数は前年同月から0.6%減の286万6400人、宿泊を伴う旅客は4.8%増の154万7781人に上った。

かつて、訪マカオ旅客の大半が日帰りだったが、昨今では宿泊を伴う旅客が増加傾向にあり、昨年6月から今年8月までの間、今年1、2月を除いて宿泊を伴う旅客が日帰り旅客の数を上回っている。

本来ならば夏休みシーズンにあたる8月は多客期となるが、今年は8月23日に大型の台風13号(国際名:ハト)がマカオを襲い、甚大な被害をもたらしたことを受け、復旧作業を優先するため中国本土からの団体旅客の受け入れを一時見合わせたことなど、インバウンド市場にも影響が及んだ。

マカオ政府統計調査局が9月29日に公表した最新統計によれば、今年8月の平均ホテル客室稼働率(簡易宿泊施設に相当するペンサオンを含む、以下同)は前年同月から4.6ポイント、前月から4.0ポイントのそれぞれ下落となる86.4%だった。対前年の客室稼働率は15ヶ月ぶりに下落に転じた。

今年8月のホテル等級別の客室稼働率は、5つ星が前年同月から4.7ポイント下落の87.5%、4つ星が4.0ポイント下落の88.3%、3つ星が4.5ポイント下落の82.9%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が2.0%増、4つ星ホテルが横ばい、3つ星ホテルが116.7%増だった点も考慮する必要がある。3つ星ホテルが急増した理由については、昨年9月13日に客室供給数3000室規模を誇る大型IR、パリジャンマカオがオープンしたことによる。

今年8月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同月から3軒増の107軒、供給客室数は同10.2%増の3.66万室あり、このうち5つ星ホテルが33軒で、供給客室数は全体の60.4%を占める2.21万室。なお、台風による被災の影響により、6軒の宿泊施設が同月末まで一時営業停止を余儀なくされた。

今年8月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月比1.1%増の109.5万人。主な内訳は中国本土旅客が5.1%増の72.7万人、香港旅客が22.9%減の13.8万人、韓国旅客が75.3%増の5.0万人、台湾旅客が2.0%減の3.9万人、日本旅客が1.9%減の1.7万人だった。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から横ばいの1.4日。

今年1〜8月累計のホテル宿泊客数は前年の同じ時期から13.7%増となる865.2万人、平均客室稼働率は3.5ポイント上昇の85.3%、平均滞在時間は横ばいの1.4日、宿泊を伴う旅客全体に占めるホテル宿泊者の割合は1.3ポイント上昇の72.4%。

昨今、マカオでは宿泊を伴う旅客が増加する一方、相次ぐ新ホテル開業による供給客室数の急増により昨年5月まで15ヶ月連続で客室稼働率が下落していた。こういった状況の中、客室数の多い大型IR併設ホテルを中心に各社が値下げプロモーションによる積極的な集客を打ち出したことで、一定の需要喚起の効果があったためとみられ、初夏以降の客室稼働率は再び上昇に転じていた。

マカオではホテル建設ラッシュが続いており、近い将来、供給数は5万室超に達する見込み。

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

マカオの町並み(資料)=マカオ半島・内港上空から空撮、2015年4月(写真:GCS)

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