マカオで今年6例目の在郷軍人病感染確認…患者は中国本土に長期居住の高齢者

 マカオ政府衛生局(SSM)は12月9日夜、同日マカオで今年(2025年)6例目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染確認があったと発表。マカオで在郷軍人病の感染確認例が出現するは約3週間ぶり。

 患者は長期にわたって中国本土に居住し、慢性疾病を持つマカオ人の男性(75)で、体調不良により11月21日からマカオの公立総合病院である仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)で入院治療を受けていたが、12月4日に高熱、咳、息切れの症状が現れ、9日に患者の尿サンプル検査を行ったところ、レジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性であることが明らかとなり、在郷軍人病と診断されるに至ったという。目下、患者の容体は安定しており、引き続き同院で入院治療が行われているとのこと。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす感染症の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、昨年(2024年)については3月から12月にかけて計10例の感染確認があり、このうち8人が潜伏期間中に中国本土または香港滞在歴があった。近年の感染確認例の推移は2018年が5例、2019年が2例、2020年が6例、2021年が3例、2022年が1例、2023年が1例。

 SSMは今回の発表に合わせ、水回りや加湿器、呼吸器用医療機器の使用にあたっての注意などを挙げ、広く公衆に対して適切な在郷軍人病予防策を講じ、感染リスクを軽減するよう再度の呼びかけを行った。

マカオの公立総合病院として知られる仁伯爵綜合醫院(資料)=2025年2月本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局(SSM)は12月11日夜、同局の観測データで現在マカオにおいてインフルエンザウ…
  2.  マカオ金融管理局(AMCM)は12月11日、同日から政策金利にあたる基準金利を0.25%引き下げ…
  3.  マカオの統合型リゾート(IR)運営大手、ギャラクシーエンターテイメントグループ(GEG)は12月…
  4.  マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ6陣営の一角、SJMリゾーツ社に属する衛星カジノ施設の…
  5.  マカオで複数のカジノIR(統合型リゾート)施設を運営するサンズチャイナ社は12月9日、傘下のIR…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  3.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  5.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年12月号
(vol.150)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun