第72回マカオグランプリ閉幕…F4ワールドカップで佐藤凛太郎選手が表彰台、FRワールドカップには日本勢7選手出場

 マカオで年に一度開催されるモータースポーツの祭典「マカオグランプリ」。1954年にスタートした歴史ある大会で、市街地の公道を転用した全長約6.2kmの「ギアサーキット」が舞台となる。

 4日間にわたって熱戦が繰り広げられた今年(2025年)の「第72回マカオグランプリ」がきょう(11月16日)夕方に閉幕した。

 今大会では、「マカオグランプリ – FIA FRワールドカップ」、「マカオGTカップ – FIA GTワールドカップ」、「マカオギアレース – クムホFIA TCRワールドツアーイベントオブマカオ」、「マカオフォーミュラ4レース – FIA F4ワールドカップ」、「マカオモーターサイクルグランプリ – 第57回大会」、「グレーターベイエリアGTカップ(GT4)」、「マカオロードスポートチャレンジ」の計7レースが行われ、世界各地から集結した多くのレーサーが屈指の難コースとして知られるギアサーキットを駆け抜けた。なお、「マカオフォーミュラ4レース – FIA F4ワールドカップ」は初開催で、長いマカオグランプリの歴史の中でも、フォーミュラカーによるレースが2種同時開催されるのは初めてのことあり、今大会の大きな目玉となった。

「マカオフォーミュラ4レース – FIA F4ワールドカップ」決勝レースで佐藤凛太郎選手が表彰台に=2025年11月16日、マカオ・ギアサーキット(写真:GCS)

 大会最終日となる16日、「グレーターベイエリアGTカップ(GT4)」、「マカオフォーミュラ4レース – FIA F4ワールドカップ」、「マカオギアレース – クムホFIA TCRワールドツアーイベントオブマカオ」、「マカオGTカップ – FIA GTワールドカップ」、「マカオグランプリ – FIA FRワールドカップ」の決勝5レースが行われ、「F4」と「FR」の2レースに日本選手が出場し、活躍がみられた。

 午前に行われた「FIA F4ワールドカップ」決勝(10周)では、前年のFRに続いて2年連続マカオ参戦となった佐藤凛太郎選手が3位で表彰台に。前日の予選レースで3位フィニッシュも、タイムペナルティを受け順位が後退し、決勝は11番手からのスタートとなった。しかしながら、先行車のクラッシュや追い抜きにより徐々に順位を上げ、終盤に表彰台圏の3位につけ、これをキープし、最後はセーフティカー導入のままチェッカーを迎えた。佐藤選手は2001年にマカオグランプリ(F3)で優勝した佐藤琢磨氏の息子で、今回は父親の優勝時のカラーを纏ったマシンでレースに臨んだことでも注目を集めた。このほか日本勢は佐藤樹選手が開始早々のクラッシュに巻き込まれるかたちでリタイア、中村紀庵ベルタ選手はマシントラブルで序盤にピットインした影響で2周遅れでコースに戻ることとなり、最後は14番手でチェッカーを受けたが、完走扱いとはならなかった。

「マカオグランプリ – FIA FRワールドカップ」決勝レースには日本勢7選手が出場=2025年11月16日、マカオ・ギアサーキット(写真:GCS)

 今大会の最終レースとして午後3時30分から行われた「FIA FRワールドカップ」決勝(15周)は、”マカオグランプリ”のタイトルを冠するメインレースで、出場27選手のうち日本勢が7選手を占めた。ポールポジションは前日の予選レースで抜群のスピードを見せつけた英国のフレディ・スレーター選手(所属チーム:SJM Theodore PREMA Racing)。優勝候補最有力とみられたが、スタート直後にスペインのマリ・ボーヤ選手(KCMG Enya Pinnacle Motorsport)に出し抜かれ、中盤にかけて2台による激しいトップが繰り広げられたが、スレーター選手が10周目の最終コーナーで左後輪をガードレールに接触させるクラッシュでリタイヤ。その後、残り2周となったリスボアベント手前でボーヤ選手のチームメイト、フランスのテオフィル・ナエル選手が一気に先行する2台を交わしてトップに立ち、直後に後方で発生したクラッシュによりセーフティーカーが出動したことで、そのままチェッカーとなった。日本勢については、加藤大翔選手(ART Grand Prix)の5位が最高。18番手スタートだった佐野雄城選手(TOM’S Racing)は大きく順位を上げ9位に入り、以下は11位のりー海夏澄選手(ART Grand Prix)、12位の山越陽悠選手(Evans GP)、19位の中村仁選手(R-Ace GP)、22位の鈴木斗輝哉選手(TOM’S Racing)までが完走、梅垣清選手(Van Amersfoort Racing)は1周目リタイアという結果に。

 ナエル選手はレース終了後の会見で、ギアサーキットでは何が起きてもおかしくなく、スタートからずっと集中力を維持し、チャンスを捉えて前走車にアタックを仕掛けてオーバーテイクに成功するとともに、最後まで後続のアタックを防ぎきって優勝できたことが嬉しいとコメント。ファステストラップはスレーター選手が8周目に記録した2分15秒702。

 なお、FIA FRワールドカップは、かつてアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハが優勝を飾ってF1へステップアップするなど若手ドライバーのF1への登竜門として知られたF3マカオグランプリに代わって前回大会から採用され、フォーミュラリージョナル(FR)規格のマシンを使用している。参考までに、2年前のF3時のファステストラップは2分06秒647だった。

 このほか、大会組織委員会によれば、今大会4日間累計の入場者数は延べ約11.6万人で、前回大会から約15%増だったとのこと。

大勢の観衆で賑わった第72回マカオグランプリ最終日(4日目)の会場=2025年11月16日、マカオ・ギアサーキット「リスボアスタンド」(写真:GCS)

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