マカオのカジノ経済成長鈍化の中、最大手SJMが5%賃上げ発表=中長期的には展望明るいとの判断

およそ十年にわたって急成長を続けてきたマカオのカジノ売上だが、2014年6月以降、月次カジノ売上の前年割れが続いており、いよいよ調整期に入った。主要因はVIPカジノの不振だ。これまで、マカオのカジノ運営企業は毎年賃上げを実施してきたが、業界の先行きが不透明な状況の中、企業の対応に注目が集まっている。

そんな中、グランドリスボアなどを運営するマカオのカジノ最大手、SJMホールディングスは2014年の大晦日、従業員に対して2015年1月1日から5%の賃上げを行うことを発表。同時に、2015年から2020年までの間、給与の1.5-2.0ヶ月分を生活支援の目的で支給することも明らかになった。

SJMでは、2014年下半期からカジノ業界全体の成長鈍化が顕著となり、2015年も大幅な改善の兆しはないとしながらも、中長期的なマカオ経済の展望については楽観視できるとの見通しを挙げ、他社に先駆けて賃上げ及び福利厚生の拡充を決めたという。

マカオのカジノ運営会社6社の直近の業績をみると、最大手ながら本格的なIR(統合型リゾート)施設を持たず、VIPカジノへの依存度が高いSJMグループが苦戦している中、IR志向の強いサンズチャイナ、ギャラクシーエンターテイメント、メルコ・クラウン・エンターテインメントといった企業は比較的安定した結果を残している。

6社はいずれも香港証券取引所に上場している。2014年の年内最終取引日となった大晦日の終値は、全銘柄が年初から大きく値を落とした。このうち、SJMの下落幅が最も大きく、およそ50%値を下げた。

SJMでは、2017年の開業を目指してコタイ地区で大型IR施設「リスボアパレス」の建設を進めている。

マカオ半島中心部に建つSJMホールディングスの旗艦カジノ施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

マカオ半島中心部に建つSJMホールディングスの旗艦カジノ施設「グランドリスボア」(資料)—本紙撮影

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