Uber、マカオ警察の取り締まり手法に異議=合法との認識不変、サービス継続意向

世界各地でスマートフォン向けアプリを使った配車サービスを展開する「Uber(ウーバー)」は、今年(2015年)10月22日に現地旅行社との協業によるマカオでの試験サービスを開始した。しかし、開始当夜に警察当局が違法性を指摘する緊急声明を出し、同月29日までに2人のドライバーが白タク運営にあたるとして検挙、車輌が押収されるなど、波乱の船出となっている。

Uberは11月3日、マカオで試験サービスを開始して以降で初めてとなる記者会見を開き、弁護士の見解及び事前リサーチ結果を根拠に、同社がマカオにおいて現地旅行社と協業で展開するサービスが合法であるとの認識をあらためて示した上、ドライバーの権利を守るため、協業先とともに警察の取り締まり手法について関連機関に異議申し立てを行う考えを明らかにした。

記者会見に出席したUberのサム・ゲルマン北アジア地区ゼネラルマネジャーは、Uberのマカオにおける協業先旅行社は合法的にマカオ市民及び観光客といった個人、カジノやホテルなどの法人に対してハイヤーサービスを提供しており、新たな集客手段のひとつとしてUberプラットフォームの採用したが、ビジネスモデルが一切変わっていないと述べた。また、現在、マカオには企業によるアプリを使った配車予約を制限する法律はなく、ホテル予約アプリと同様であるとした。

マカオで記者会見を行ったUberのサム・ゲルマン北アジア地区ゼネラルマネジャー(中央)=11月3日、マカオ・Sky21にて本紙撮影

マカオで記者会見を行ったUberのサム・ゲルマン北アジア地区ゼネラルマネジャー(中央)=11月3日、マカオ・Sky21にて本紙撮影

Uberによると、地元旅行社及びドライバーは、Uberが提供する技術を活用することで、より多くの潜在ターゲットにアプローチが可能となることから、協業に対して非常に前向きな姿勢を示しているとのこと。同社では、今後も協業先旅行社とともにマカオ安全かつ信頼性の高いトランスポーテーションサービスの提供を約束するとし、継続の意向を示した。

なお、10月22日のマカオでの試験サービス開始後、マカオの多くのユーザーからポジティブな反応があり、実際に世界40都市のユーザーによる利用があったという。

マカオでは、近年の人口及び訪マカオ旅客数の急増に伴い、タクシーが供給不足の状況となっており、一部悪徳ドライバーによるぼったくりや乗車拒否も散見されることから、サービス改善を求める市民や観光客も多く、Uberへ期待につながっているものとみられる。一方、タクシー業界はUberの上陸に反発しており、マカオ警察当局、交通当局、旅行社を管轄する旅遊局(観光局)もアプリを使った配車サービスは違法であるとの姿勢を一貫して主張している。

今後しばらくUberとマカオ当局との間で攻防が続きそうだ。

マカオでサービスを開始したUberの最初のユーザーとなったマカオ出身の歌手、小肥さん(写真:「Uber.com」ニュースルームより)

マカオでサービスを開始したUberの最初のユーザーとなったマカオ出身の歌手、小肥さん(写真:「Uber.com」ニュースルームより)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計調査局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)の民間建築及び 不動産取引…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が今週末の3日間(2024年5月17〜19日)にかけて香港・将軍澳エ…
  3.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…
  4.  マカオ金融管理局は5月17日、今年第1四半期(2024年1〜3月)のマカオ国際性銀行業務統計を公…
  5.  このほどマカオ政府財政局(DSF)が公表した最新統計によれば、今年(2024年)4月の住宅売買・…

ピックアップ記事

  1.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun