香港の新型コロナ新規感染者数259人…2週間後以降に第6波の可能性も=5/15

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少傾向を維持している。

 香港衛生当局が5月15日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から25人減の259人(輸入性33人含む)とのこと。内訳はPCR検査経由が113人、迅速抗原検査経由が146人。2日連続減少となり、22日連続500人以下を維持した。第5波開始以来の累計感染者数は119万5875人。

 新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9148人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、オミクロン変異株亜種(BA.4など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の第一段階緩和と第二段階の一部先行緩和が実施された。ソーシャルディスタンス措置の緩和によって、近日はクラスターの発生が相次ぐ。

 このところ新規感染者数の目立ったリバウンドは出現していないが、15日夕方の会見で香港大学医学院の梁卓偉院長は、直近数週間の新規感染者数が毎日300人前後で推移する状況は、(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す)実効再生産数が1を維持していることを意味し、わずかなきっかけから流行第6波につながる可能性があると指摘し、その時期として2週間後以降とした。香港衞生防護センター伝染病処の張竹君主任は、最新の実効再生産数は0.8965であり、流行が拡大している様子が窺えるとした、依然市中に数百もの見えない伝播チェーンが存在する可能性があり、かつ感染者の多くが自覚症状がない中、市民に対してワクチン接種とソーシャルディスタンスの確保を呼びかけた。

 5月14日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は91.6%(1回目の接種完了)、85.8%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。14日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万4465回で、7日移動平均は2万7607回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(72.13%)、70〜79歳(80.22%)、80歳以上(65.66%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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