現代美術家シーズン・ラオ氏がマカオ芸術博物館で個展と特別講座開催

 マカオ政府文化局(IAM)およびマカオ芸術博物館(MAM)は、同館の収蔵作品『百年菉荳圍 Pateo do Mungo』を紹介する展覧会「新像——藝博館藏現當代藝術展」の開催に合わせ、作者であり、日本を拠点に活動するマカオ出身の現代美術家・シーズン・ラオ(劉善恆)氏を迎え、5月23日に特別講座を実施した。

 講座では、《百年菉荳圍》がマカオにおける歴史的建造物の保存運動に果たした役割を起点に、ラオ氏が展開する独自の芸術哲学「自然余白」について掘り下げ、東アジアにおける芸術と社会の関係に新たな視座が提示された。

 また偶然にも、釜山市立美術館の学芸室長であり、釜山ビエンナーレ実行委員の鄭鍾孝氏、アートフェアアジア福岡の創設者・森田俊一郎氏といった東アジアの美術関係者が講座に居合わせ、ラオ氏の作品が地域の記憶や都市の変容をどのように映し出しているのか、また「自然余白」という概念がいかにして東アジア的な共感と対話の可能性をひらくのかについても活発な意見交換が行われた。

 こうした思想や表現は、マカオ芸術博物館に併設される創意空間にて同時開催中の個展(会期:2025年5月22日〜6月10日)でも体感することができる。

(写真:MAM)

 フランスの哲学者ロマリク・ジャネル氏は、ラオ氏の作品について、次のように述べている。「シーズン・ラオの作品はすべてをコントロールするわけではなく、予測できない『余白』が重要な役割を果たしています。このプロセスは意味を固定せず、余白/余地に開かれた境地は鑑賞者、自然との邂逅によって立ち現れて、縁起の本質に反映しています。」

 個展では、「自然余白」シリーズに加え、東京大学東アジア藝文書院(EAA)が企画協力し、建築家・安藤忠雄氏による瞑想空間に設置された作品『虚室・生白』の映像なども展示されており、芸術と哲学が静かに交錯する空間が広がっている。

 さらに、5月24日・25日にはIAM及びMAMの主催によるシーズン・ラオ ワークショップも開催された。舞台は世界遺産・聖オーガスティン広場を中心としたマカオ歴史市街地区で、参加者はアーティストの指導のもとで作品を構想・撮影し、優秀作は今週後半に美術館にて展示される予定だ。

 本企画は、文化・歴史都市マカオから発信される東アジア芸術の現在と未来を象徴するものであり、国際的な対話の場としても注目を集めている。

(写真:MAM)

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