マカオ、2021年2月のホテル客室稼働率は40.3%…前月から12.8pt下落

 マカオは人口約69万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。昨年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられらていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫を免除)された上、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請受付がそれぞれ8月12日、26日から再開、9月23日から中国本土全域に拡大した。これと並行してマカオと中国各地を結ぶ海路、空路の交通アクセスも元に戻りつつある状況。

 今年2月のインバウンド旅客数は前年同月から1.7倍増の42万7122人だったが、前月からは23.3%減。中国本土との往来制限緩和後、復調傾向が続いていたが、2ヶ月連続で対前月マイナスとなった。下落した要因については、中国本土の一部エリアで市中感染が出現したことで、移動を控えるよう呼びかけがなされたことなどが考えられる。この影響は2月中旬の春節(旧正月)ホリデーまで続いたが、2月下旬時点では再び状況は落ち着きを取り戻している。対前年の急上昇要因は、新型コロナ防疫対策による水際措置が昨年1月下旬から本格的に講じられ始め、2月以降に旅客数が大幅減となった反動。

 マカオ政府統計調査局は3月29日、今年2月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は38.5%で、前年同月から23.7ポイント(pt)の下落となった。前月からも1.8pt下落。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から29.4pt上昇の39.1%、4つ星が21.3pt上昇の40.4%、3つ星が15.3pt上昇の39.3%、2つ星ホテルが19.3pt下落の23.8%、ペンサオンが18.6pt下落の27.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が12.8%減、4つ星ホテルが14.6%増、3つ星ホテルが4.6%増、2つ星ホテルが27.9%増、ペンサオンが16.8%増だった点も考慮する必要がある。

 今年2月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から3軒増の120軒、供給客室数は4.4%減の3.57万室あり、このうち5つ星ホテルが4軒減の32軒で、供給客室数は全体の59.9%を占める2.14万室。

 今年2月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から1.5倍増の38.2万人。中国本土旅客は前年同月から1.9倍増となる30.3万人だった。地元マカオ市民によるステイケーション利用が稼働率の下支えに寄与していることも明らかで、2月のマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)の宿泊者数は前年同月から1.3倍増の5.5万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.1日短縮の1.7日。

 今年1〜2月累計の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から10.9pt下落の39.4%、ホテル宿泊者数は32.5%減の83.3万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.7日。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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